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2022.05.10
カウンセラーだより5月号
人は写し鏡だと思う
今回は、2021 東京パラリンピック「女子視覚障がいマラソン」で金メダルを獲得した道下美里選 手へのインタビューを引用させていただきました。
道下選手は中学 2 年生で右目を失明、25 歳で左 目に難病を発症。盲学校在籍中に陸上競技と出会い「あきらめない心・挑戦する心」をモットーに、 伴走者と共に 2 度も世界記録を更新しました。
道下選手にとって、伴走者とのコミュニケーション は、レースの行方を左右する大切なものでした。
以下引用(一部改変)
本音をぶつけるって凄く難しいし、私も伴奏者の方に「こうしてほしい」とか「自分はこう思っ ている」ということを伝えるのはとても難しいですが、伝え方ってあるじゃないですか。最初にやっ てもらって嬉しかったこととか、感謝の気持ちを伝えた後に「もっとこうすれば、更に早く走れたか も」とか、言い方や順番で、だいぶん変わってくると思います。批判的に伝えるのではなくて提案型 で伝えるとか、そういったことは凄く意識しています。
私たちは競技で結果を出すということが目標 なので、何かに妥協していたら望む結果にたどり着けないんです。互いが、細かい所も妥協せずに取 り組んだ結果が金メダルなのだと思うので、そのためには言い難いことも言うし、毎回、練習の後に ミーティングをやりますが、言いにくいことを溜め込んで言うと大変なことになっちゃうんです。気付いた時点で、傷にならないうちに「さらり」と言うみたいなことを心がけています。(中略)
私は、 人は「写し鏡」だと思っていて、最終的に自分が接しているのと同じように相手も接してくるんで す。自分が本音を出さないと相手も本音を出してくれないし。相手との距離感だったり、それまでの 関係性で同じ言葉を使っても全然伝わらなかったり、伝え方次第でどう伝わるのかというのもあり ますし。日常のコミュニケーションでは、そういうことを殆ど知らない間に感じてやっているのでし ょうね。
※日本心理臨床学会広報誌「心理臨床の広場」No15より